深淵小町

「しんえんこまち」と読みます。主に創作。

青天

扉絵


本編

『それ以降もユイキリの怪我は増え続け、体調が悪いと言って一日中横になっている事も増えました。
彼は一貫して傷の具合を見せてくれる事は無く、今思えば完全に死を覚悟していたのですが』

彩「…え何してるの」
結「ねーちゃん、俺さ、今まで頑張って持ち堪えて来たけど…もう無理だわ」
彩「な…何がよ」
結「生きるの」
彩「え…噓でしょ、今まで一生懸命やってたじゃん、何を今更言ってんのよ…」
結「食料とか、水とか、いずれ無くなるだろ?だったら一人減って減るスピードを抑えた方が良いと思ってんだ。
  全身の傷も広がるばっかで…痛すぎて寝れねえし。
  まあ、ぶっちゃけて言うと、生きるのに疲れた、絶望したって事だ!」
彩「はぁ…?」
結「だからねーちゃんを生かす事方向性にシフトしたんだぜ。まだ”症状”出てないみたいだしよ」
彩「症状って…まさかアンタその傷」
結「お察しの通り、まあ気付いたら感染しちまってたらしい。毎日症状進んでるし、綺麗な空気も吸えないし、安眠出来ねーし、ねーちゃんにも伝染しちまったかもしれない。
  伝染してないかもしれない。だからさ、託すよ、ねーちゃんに」
彩「いや、アンタさ…」
結「生きてくれ!俺の分もとは言わないし、この場だけでいいから!
  辛くなったらいつでもあの世で待ってるからさ!
  とりあえず、困ったら窓際のベッドに置いといた箱開けてくれよな!」

『その言葉を最後に、ユイキリは握りしめていた縄を自分の首に掛け、そのまま…。
彼の全身から微かに腐臭がする事に、今更気付きました。
ひたすら啞然呆然として、何も喉を通らず、はっと自分が困っている事に気付き、おもむろに窓際のベッドの上の箱を開けました。
なかなか開かない、工具を刺す。前後に強く動かして無理矢理開ける。
中身は色が違う薬が入った2本の注射器と薬の説明書だったので、とりあえず説明書を読みました。』

彩「ウィルス対策…全身の腐敗、死んでいるのにも関わらず生前の記憶を頼りに動いている状態…所謂ゾンビ」

『説明書によると、中の薬は、薄いピンク色の方が感染前から発症直後の患者向けの抗体で、青っぽい方が、療虫神を呼び寄せる呪薬との事でした。
前者はともかく、なぜ病院にオカルトグッズとしか思えない後者があるのか。
よく解らないまま私が腕に刺したのは、青い方。間違えました。
しかし、間違えたまま、指に力が入り、注射器のピストンを押してしまいました。という事で、私の体に変なオカルト薬が入りました。
どっちも弟が自分の為に見つけて用意しておいてくれた物なので、そういう風に考えれば同じです。
結局、惑星全土で信仰されるマゴットセラピーの神が、自分の元に来た事を、後々知る事になりました。』

彩「まさかこんな事になるとは思わなかったよ。
  案の定私も感染しててさ、薬打った後に気付いたんだけど、右の太腿裏がちょっと怪しくなってた」
ス「今は治ってるんだよね?」
彩「今はね」
ス「彩枦はいつ、というかどうやって地球に来たの?」
彩「それがさー。いつの間にかアメトリンが出現してて、気が付いたら地球に来てた。
  この病室だよ」
ス「何でか初対面宇宙人の彩枦が何言ってるか解ったんだよねー」
彩「アレ何でなの?」
ス「さあ?」
彩「ま、いっか。あれ?あの箱が無い。ってあー!この病室じゃないわ!」
ス「な、長いこと来てないし、間違うのはしゃーない、多分」
彩「えーと、あ、ここだ!あー多分こっちの青い方だな!残ってて良かった~」
ス「任務完了だね。
  で、彩枦、アメトリンに何か願ったりしたんじゃないの?」
彩「えー、まあ綺麗な空気の吸える星で安眠したーいとか思ったのかも。
  そしたら何故か地球に飛んできて、スノドロと会って、金稼ぐ為にヴァンパイアハンターやり始めたんだわなあ」
ス「金目的だと認めた…」

メモ

今回は以上です。
ユイキリもちゃんと青い薬自分に打ちましたが、駄目だったようです。
死蝋児は生きる意志を持っている奴にしか寄り憑かないので、宿主が俺はもう無理や4のう…となった瞬間「んだよ使えねーな、お前には失望したよ」ってな感じで離れてしまうのです。
ゾンビが死蝋児と離れたらただの死体か、死体も魂も残らない空気と同然の存在と化します。
原理と死蝋児のビジュアルは後ほど…

日記

大学の入学金振込完了しました~って書類が!届かない!
1.出願時に入力した住所の入力でどっか間違えた
2.私の運が無いのが最大の原因
さあどっちだ。
昨日届くって言われたんですけどね…昨日どころか今日の午前が終わりそうになっている今もまだ届いてないです。
しゃーなしに別の方法で対処して頂く事になりました。
お手数かけてホント申し訳ないです