本編
*前回のあらすじ
前々回参照。
雪「私昔は人を死に誘う幽霊だったカラ最終的に死に至るような病気とかにしちゃわないか不安なの」
み「そんな本能レベルで人を死に誘っちゃうの…?」
雪「そんな私の昔の話、聞きたい?」
み「面白そうだし聞こうか」
★
・雪蘭悪霊時代のすがた
雪「昔々、私はスペイン在住だったんだヨ。
当時の私は凄かった、怨念も執念も何も無い、無から生まれた虚無の霊魂。
私に魅入られた物は皆不幸のどん底に落ち、最後は虚ろな抜け殻になる。
皆私を悪霊と呼んで恐れた。何処へ行っても…。
それでも、楽しかったから別にそれでよかった。
でも、何処へ行っても恐れられる程有名になったが故に、国外の者にも知られる事になった。
それが師匠!」
み「師匠出たな!」
雪「師匠は私に会いに来た。自分は旅の道士だと言って。
私は師匠も抜け殻にしようと思った。でもそうはならなかった。
師匠は鋼の肉体と、同じくらいかそれ以上に堅い精神を持っていたんだヨ。
だから私の力など通じない。どれだけやっても返り討ちに遭うばっかりで、とうとう私は師匠に屈服した。
そしたら師匠、何て言ったと思う?
『お前のその腐りきった根性を叩き直す。弟子にしてやるから付いて来い!』
それで連れて来られたのが、師匠が祖国の山奥に作った仙境…鏡の様に澄んだ湖が出入り口」
み「ほうほう。それでそれで?」
雪「次の日から、私は師匠に正式に弟子入り、厳しい修行を積む事になったんだヨ。
朝早くに起きて簡素な食事、雑用、一から仙術の修得、最後に―――不老不死の霊薬を生み出す術、錬丹術。
元々師匠に才能があると目されていた私はある時ついに丹を完成させ、確固たる肉体を得て、師匠に一人前と認められて、一人暮らしを始めた」
み「そこら辺は人間と変わらんな」
雪「一人暮らしの最中、興味を持ったのは食と僵尸の事…。
僵尸については渋られたけど、師匠に認めて貰えたヨ。でも食の事は…駄目だった」
み「何喰ったんだ?」
雪「兎の肉そのまま」
み「野生動物を生はやめとけよ!」
雪「でも食への探求心を捨てきれなかった私は、僵尸を連れてこの国の、この町にやって来たんだヨ。
強引に師匠を振り切ってネ」
み「つ、つまり祝さんには意図せず師匠の命を奪ってしまった哀しき過去が」
雪「あ、師匠は元気。
仙人なんだからそう簡単に死なないヨ」
ほ「本当に死なないのか試しても良い?」
雪「え??」