深淵小町

「しんえんこまち」と読みます。主に創作。

毒持ち生物

本編

メ「いくわよ」
絵「あ、顔じゃなくて鳩尾で」
メ「細かい注文付けてんじゃないわ。ちくしょうの分際で。
  やっちまうわよ」
絵「頓宮さんは人間も診る医者なのに人の心とかは無いんですか」
メ「無いわよ、妖怪の心ならあるけどね」
絵「えー…。
  …頓宮さんって、ここに来る前は何してたんですか?」
メ「イギリスでね。クレイジーでマッドな研究者のペット兼スパイをしていたわ」
絵「あ…ふーん…」
メ「今嘘だって思ったでしょ。本当よ、私は元普通のイモリ」
絵「あれ、爬虫類なんじゃ?」
メ「諸事情あって爬虫類だと偽ってたのよ。本当はイモリ。懐かしいわよ、ペットやってた時代。
  飼い主は妖怪より妖怪っぽい奴だったわ。人間なのにね。度を超えたオカルトマニアって感じ」


メ「博士!起きて!」
ま「何~?」
メ「パトカーのサイレン鳴り響いてんだけど!また何かやらかしたでしょ!」
ま「近所中をトンカラトンに扮してサイクリングしただけよ」
メ「ガッツリ不審者じゃないの!このバカ!
  てかイギリス人が日本の都市伝説知ってると思う!?オカルトマニアも大概にして!」
ま「まーまーそうカッカしないでさ。メアリーがその体を手に入れられたのは誰のお陰でしょーか?」
メ「私は別に人型の体をくれなんて言ってない」
ま「あっえっそこまでハッキリ言う?悲しい…」
メ「泣かないでよ…。その話は私の名前を『ブラッディ・マリー』から取った事と同じくらい何度も聞いたわよ」
ま「大事な事だからね。忘れないように何度も話すのさ。というかコーヒー淹れてくれない?
  徹夜で作業するつもりが自転車降りてすぐに寝ちゃった」
メ「全くしょーがないわねー。私にも迷惑が掛かるんだから次からはこういうのやめてよ!
  この地下施設がいつケーサツにバレるか解らないってのに」
ま「ケーサツに怒られるようなもんは置いて無いけどね。引かれはするだろうが」
メ「はあ、人工的に無機物妖怪を作る実験してるんだっけ?」
ま「そそ。有機物、もとい生命を妖怪化させるのはもう成功してるから。次は宝石。
  成功したらもっと難しい物に取り組みたくなるでしょ」
メ「そのせいでその有機物妖怪は頑張ってケアしてる肌に爬虫類の鱗を縫い付けなきゃいけないんだからたまったもんじゃないけどね」
ま「それは本当にごめん。でもメアリ―にしか頼めないから」
メ「慣れたけどね、もう。寂れた爬虫類人レプティリアンのコミュニティに潜り込むのは」
ま「アイツらは石に生命を吹き込む技術を未だに持ってるからね。
  でも爬虫類人間ってのは総じて用心深い」
メ「いくつもの星を侵略しまくってる種族だからま、そうなるわよね」
ま「まあ今は王政が崩壊して散り散りになってんだけどね。地球に来た当初は地下の天下を取った種族が落ちぶれたもんだ」
メ「そうねえ、年々数減らしてるわ、あのトカゲ共。
  コーヒー出来たわよ。というか机整理したら?特にこのみずは町のなんたらとか言う怪しいの」
ま「それは一番重要!絶対に捨てたら駄目!」

メ「そうして博士は消えたわ。みずは町の真ん中にね。
  私は爬虫類人間からの逃亡がてらここに来て、気が付いたら医者やってたわ」
絵「よくわからない言葉は凄い出てきてるんですけど、無機物の妖怪は結局出来たんですか?」
メ「一応形だけは出来たわよ。複数作ったうち一体も動かなかったけどね。
  私にはどうにも出来ないから置いてきた」
絵「博士は動作確認とかせずにみずは町に来ちゃったんですか?」
メ「せっかちな人だったしね。
  相当設計に自信があったみたいで、いつか動くだろうって感じでさっさと日本に行ったわ」

メモ

今回は以上です。番外編にしては長め。

博士とは昔紹介した双原麻菜さんの事です。
麻の字が麻美と被るので「ま」表記にしました。

ちなみに博士は天涯孤独です。寂しさを埋めるために何故かイモリを飼い始めました。そしてメアリ―と名付けました。
更に何故かそのイモリに妖怪化実験を施しました。
そのイモリが頓宮メアリです。

頓宮さんの過去回想入れられそうにないから番外編で出しました。